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ポーランドからドイツに入る国境にて。
ほどよく埋まった食堂車に、ポーランドの国境警備隊2名とドイツの国境警備隊1名の3人グループが乗ってきた。 角に座っていた黒人のお客に「パスポートにビザがあるか見せてください」と言う。 「ここにこんなに人がいる中でなぜ私だけパスポートをチェックされるのか?黒人だからか?人種差別をするつもりか?」と抗議する彼。 「パスポート、プリーズ」を繰り返すポーランドの国境警備隊。 「ビザは持っているがパスポートは座席に置いてきた。取ってこないといけない。 でもなんで私だけなんだ。抗議する。」 周囲のドイツ人は、すぐドイツ語で警備隊に文句を言い始めた。 「その人の言う通りだ。なぜ彼だけパスポートの開示を求められるんだ。 あなたたちはレイシスト(人種差別主義者)じゃないか」 「私はユダヤ人よ。ドイツの中では少数派だわ。私にもパスポートのチェックをもとめなさいよ」 ドイツ語なのでポーランドの国境警備隊はわからない。 ドイツの国境警備隊が言い訳を始めた。 「あなたたちは私たちをファシストと言うが、これは国境を守るための仕事の一環で、 でもドイツ側はオブザーバー的立場で側にいるだけです。 ポーランドの同僚が、一車両につき適当に1人を選び出してパスポート開示を求めているわけで、ここでは彼を選びましたが、後部車両でも同じことをやってきたんです」 なんとも歯切れの悪い言い訳だ。 そもそも問題としているテーマもすり替え、「レイシスト」と「ファシスト」も言い換えている。 同僚にパスポートを持ってきてもらった彼は、 「私はエイズ撲滅活動を行っている団体の親善大使だ。 ビザを見ただろう。あなたの名前と番号を控えさせてもらう。今回のことについては苦情状を出すつもりだ」。 反省の色もなく、ドスドスと足音を立てながら次の車両に進んでいくポーランドの国境警備隊。 ドイツの国境警備隊は、いちおう最後までぼそぼそと言い訳しながらついていく。 こういう時、ドイツの人はけっこうな確率で議論に入ってくる。おせっかいとは違う。 "Deutsche Diskussionskultur" ドイツの討論文化、なのだろうか。 車の接触事故があった時とか、道路の反対側にいる人まで信号を渡ってやってきたり意見を言いだす。ドイツの人は口々に自分の意見を言って、正当性を主張する。 私も、何度かそういう場面に遭遇した。 デパートの順番待ちでなぜか私だけ無視された時とか、 タクシーの運転手に言いがかりをつけられた時、その時道にいた人たちがどんどん集まってきてくれたのでびっくりした。 たいてい私以上に怒ってくれるのだが、時々は全然状況がわかってなくて的外れの抗議だったりもする。いつのまにやら問題の私はまったく蚊帳の外になってるのにまだ言い争いを続けていて、「えー、私はそろそろ帰っていいでしょうか……」という状況になってたりもする。 それでも、言わずには気持ちがすまないのだろう。 彼が言っていることは正しい、、、この中で私だけがパスポートをチェックされたら なんで?って私も言いたくなるだろうと強く思いつつも 声をあげない私とは大違いだ。 食堂車全体に、「平等にみんなのパスポートをチェックしろ」という声があがっていくのにを横目に、冷や汗をかきながら下を向いていた。 実はちょうど新しいパスポートに書き換えたばかりで、パスにビザが貼られていなかったのだ。うっかり古いものを持っていくのも忘れていた。 もちろん、連邦警察に問い合わせて貰えば私の身元やビザがあることは確認してもらえる。 でもその前に、面倒に巻き込まれるのが嫌だ。。。 ドイツ語ができるようになっても、ドイツに何年暮らそうとも この点だけは、ドイツ的、ドイツ人のようにはなりそうにない。
by berlinbaubau
| 2016-09-14 16:41
| ドイツのこと
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